「新しいシステムを導入したのに、現場が変わらない」
「改善のルールを作ったのに、社員が従わない」
経営者の方から、よくこんな声を耳にします。
仕組みやルールを整えれば、自動的に組織が動き出すと考えてしまう。
しかし実際には、仕組みだけでは人は動かないのです。
おととい訪問したある会社では、社員10人に対してプリンターが10台。
「必要だから」と社長は即決しましたが、社員は疑問を持たず受け入れていました。
なぜそれが必要なのか、誰も説明できず、自分の仕事の全体像も理解していない――。
このような現場では、どれだけ整備しても“目的”が見えないため、社員の行動は変わりません。
人は「なぜやるのか」が理解できなければ、ルールを守るだけで終わります。
逆に、目的が腹落ちしたときには、自ら考えて動けるようになります。
例えば、在庫管理の改善。
「在庫を正しく入力してください」と指示するだけでは、面倒な作業にしか映りません。
しかし、
- 正確な在庫情報があると受注のチャンスを逃さない
- 在庫過多を防ぐことでキャッシュが守られる
- 結果的に利益が増えて、社員の待遇改善につながる
こう説明すれば、社員は「自分の入力が会社を支えている」と理解できます。
仕組みと目的をつなぐ翻訳作業こそが、経営者の大切な役割です。
DXの導入で失敗する多くのケースも、目的の共有不足にあります。
- 営業支援ツールを入れたのに、入力が面倒だと放置される
- 生産管理システムを導入しても、現場は従来の紙運用に戻ってしまう
- データが溜まるだけで、経営の意思決定に活用できない
これらはシステム自体が悪いのではなく、「なぜそれを導入するのか」を社員が理解していないからです。
「営業活動を見える化することで、訪問数と売上を連動させたい」
「生産のボトルネックを見つけ、納期短縮につなげたい」
「データを活用して、不良やトラブルを未然に防ぎたい」
こうした目的を具体的に伝えることで、DXは単なる道具ではなく“武器”に変わります。
目的が明確になると、社員の行動が変わります。
- 自分の仕事が全体にどうつながるかを理解し、判断力が増す
- 指示を待たずに動けるようになり、スピードが上がる
- 「どうせ言われたことだけやればいい」という諦めから脱却できる
結果として、現場は活気を取り戻し、組織全体が加速していきます。
目的が示されることは、単に業務効率を高めるだけでなく、働く人のモチベーションそのものを支える仕組みになるのです。
仕組みを整えることは大切ですが、それだけでは組織は変わりません。
社員が動き出すのは、“目的”が見えたとき。
経営者の想いを、現場の仕事に落とし込み、
「なぜやるのか」をわかりやすく伝えること。
それが、改善を成果に変えるための第一歩です。
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私は、経営者の未来像を“現場で動く計画”に翻訳し、実際に社員と一緒に改善を形にする伴走支援をしています。
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